秋の料理で思いついたのが土瓶蒸しでした。でも松茸は高いし、本当に土瓶を使ってしまうと少ししかできないので、アレンジしました。
土瓶蒸しに近い料理にファッチューションがあります。直接火にかけないで、蒸すという点が共通しています。両者はボコボコ沸騰させないので、香り成分が逃げず、強い香りを楽しめるという特徴があります。
ファッチューションは大きな壺を使うので、一度に大量に作れます。ファッチューションの技法を使って土瓶蒸しを作ることにしました。

キノコです。しめじ、舞茸、なめこ。安価なキノコを使います。

里芋です。昔、ファッチューションについて調べたら、里芋を入れていたので。火の通り具合を気にする必要をなくすため、予め蒸しておきました。

鯛(養殖)のアラでスープをとります。

茹で上がったアラです。骨さえなければ美味しく食べられる部分なので、骨を抜いて、身は具として利用します。

鯛のスープで鶏もも肉を茹でます。茹で汁は使うのでとっておきます。

茹で上がった鶏もも肉です。細かく切ります。

水で昆布と鰹節のダシをとります。

琥珀色の美味しそうなダシがとれました。

果実酒瓶(4L)に具とスープを入れます。一番上の緑の物体は水菜です。白菜の予定でしたが、お店になかったので。
調味料としては醤油と日本酒を入れました。

瓶を寸胴に入れて湯煎します。6時間くらい湯煎にかけました。

できました!
やはり香りが強いです。良くも悪くも食材の香りがよく残っています。
鯛の香りを強く感じます。魚が苦手な人はだめかもしれません。→スダチを絞ったら魚の香りの嫌な部分が消え、美味しくなりました。
キノコの味がよく出ていていますが、入れた量からすると思った程ではありません。キノコは一旦乾燥させないと旨味が出ないようです。
科学的理屈:キノコは乾燥すると細胞壁が壊れる。これを5℃位の低温で水戻しするとリボ核酸が溶出する。リボ核酸はリボ核酸分解酵素で分解されるとグアニル酸(うま味)になる。リボ核酸分解酵素は60-75℃で働き、80℃以上で失活する。グアニル酸はヌクレオチド分解酵素でグアノシンになってしまう。ヌクレオチド分解酵素は45ー60℃で働き60℃以上で失活する。
鶏肉は軟らかくなって食べやすいです。
里芋は臭みがないので、この料理に向いていることがわかりました。
ちょっとツンとする臭いと苦味を感じました。多分日本酒のアルコールです。日本酒はアルコールを煮飛ばしてから加えた方が良いことがわかりました。
今回は美味しく食べられることを念頭に作ったので、前回よりも随分食べやすくなりました。以下改善案
1)魚は臭みもあるので要注意。ホウボウとかヤガラとか脂が少ない白身魚が合うように思います。もしくはいっそのこと入れなくてもよいかもしれません。
2)酒はアルコールを飛ばしてから入れる。
3)具材は炒めてから入れると生っぽい香りがなくなって良いかもしれない。
4)科学的に理にかなったキノコの扱い方:①一旦カラッカラに乾燥させる。②冷蔵庫で水戻しする。③戻し汁を70℃まで一気に熱し、そこへ戻したキノコを入れ、70℃を20分保持する。めんどくさいですが、次回はこの方法でやってみます。