佛跳牆(ファッチューション)

以前から密かに計画していた佛跳牆を決行しました。佛跳牆とは乾物と水を甕に入れて長時間蒸して作るスープのことです。名前は「あまりの美味しそうな香りに修行僧ですらお寺の塀を飛び越えて来る」ことからきているそうです。

こちらはコツコツと作りためた乾物です。干し椎茸、干しシメジ、干し貝柱、干しホンビノス、干しヒレ(魚の種類は忘れました)です。いずれもお店で買ったものを自宅で干しました。

魚の頭です。ウメイロだったかな?冷凍庫で保存していました。

干しスルメイカ。買いました。調味料がついてないただ干しただけのものです。

塩漬け豚肉の干物です。金華ハムの代わりです。燻製づくりの要領で、塩漬け、塩抜き、乾燥で作りました。

塩漬けにして干した鶏胸肉です。作り方は豚肉と同じです。

塩漬けにして干した牛肉(カレー・シチュー用)です。作り方は豚肉と同じです。

ニンニクです。実家から貰いました。

以上の食材を大きな瓶(果実酒用4L)に入れます。

水(ブリタ)をなみなみと注ぎます。

瓶を寸胴(8L)で湯煎します。寸胴の底には蒸し台が入っています。こうすると食材が直に加熱されないので、焦げ付きを防ぐことができます。

4時間ほど煮てから味見してみました。臭みを感じたので臭み消しとして生姜を入れました。

臭み消しのため八角と黒胡椒も入れました。

更に焼きネギと焼きニンニク(写真外)を加えました。目的は臭み消しと香ばしい風味を加えるためです。

そういえば甘み要素を入れてなかったなと思ったので、ドライフルーツを入れました。干しナツメ、干しクコ、干し柿です。普通干し柿は入れないと思いますが、合いそうに思ったので。

肉はイノシン酸、貝はコハク酸、キノコはグアニル酸を豊富に含んでいます。グルタミン酸が欠けていたので、干し昆布を加えました。干し昆布を加えたら、角ばっていた味のバランスが途端にまとまり、丸くなりました。

それから日本酒も加えました。本当は紹興酒なのでしょうが、家になかったので。

合計12時間ほど湯煎にかけて完成としました。12時間と聞くと凄く大変に感じると思いますが、基本弱火で放置して、たまに水を注ぎ足すだけなので大変ではないです。家にいる週末なら普通にできます。

瓶のスープに醤油を少し加えて完成です。

味は複雑濃厚です。当然ながら旨味が濃いです。また八角を入れているので漢方の風味です。良い風味もありますが、残念ながら好ましくない風味もあります。貝類の風味がクセに感じます。途中で入れた焼きニンニクから苦味が結構出てしまいました。ニンニクは焼かずに入れるべきでした。

今回の佛跳牆をレビューします。

具:

1)海の動物:干し貝柱(ホタテ)、干しホンビノス、魚のヒレ、魚の頭(ウメイロ)、干しスルメイカ

2)海の植物:昆布

3)山の動物:干し牛、干し豚、干し鶏

4)山の植物:長ネギ

5)キノコ:干し椎茸、干しシメジ

6)スパイス:八角、黒胡椒、ニンニク、ショウガ

7)果物:干しクコの実、干しナツメ、干し柿

8)調味料:日本酒、塩、醤油

調理法:瓶に乾物を入れて水を注ぎ、12時間湯煎。

佛跳牆を実際に作ってみてこの料理のポイントがわかりました。

1)直接煮込まないので良くも悪くも風味が逃げない。直接煮込むとボコボコと湯気の泡が出ます。普通はこの泡に乗って香りや臭みが逃げます。湯煎だと泡が殆ど出ないので香りも臭みも逃げません。このため臭みを持たない食材を入れることが重要です。

2)ニンニクは焦がさない。ニンニクは焦げると凄く苦くなります。長ネギは多分大丈夫。

3)貝類、スルメイカはクセが強いので要注意。旨味も出ますけどね。

4)果物はもっと入れてよい。甘み要素はあってよいと思います。

5)脂は入れない。脂は邪魔に感じました。肉の脂身は取り除いた方が良いです。

6)入れる具材によって味はいかようにも変わりうる。キノコを主とした佛跳牆、海産物を主とした佛跳牆、肉を主とした佛跳牆など、色んな佛跳牆が作れます。色々試せばお気に入りが見つかると思います。

7)この調理法は面白い。「色んな物を入れられて、風味が逃げない。焦げ付かないので放置できる。」という長所を利用して、中華の枠にとらわれないチャレンジをしてみたいです。鶏ガラ、豚骨、鰹節、などいろいろ考えられます。

次回つくるならこんな佛跳牆に

1)海の動物:白身魚の干物、鰹節

2)海の植物:昆布

3)山の動物:鶏胸肉又は豚モモ肉の薫製。燻製作りが趣味なので。燻製香はあっても良いと思います。肉は色んな種類を入れてもいいですが、まずはシンプルなものから始めた方がコツをつかみやすいと思います。

4)山の植物:長ネギ(焼き)

5)キノコ:椎茸、シメジ、エリンギ、マイタケ。キノコは悪いクセが出ないので、沢山入れたいです。

6)スパイス:黒胡椒、ニンニク、ショウガ

7)果物:リンゴ、干し柿。クコの実やナツメといった縁遠い果物よりも、なるべく身近な果物を使いたいです。

8)調味料:紹興酒、塩、醤油。コクのある紹興酒の方が合いそうに思いました。

9)その他:肉類は素揚げして香ばしさを引き出してから入れてもいいかもしれません。

生活の中の佛跳牆の位置づけ

将来的には佛跳牆を正月のお節料理のような位置づけにしたいです。1年かけて色んな乾物を蓄え、大晦日にスープとしていただき、新しい1年の無病息災を願う、そんな年中行事にしたら素敵だと思っています。

いいですね、佛跳牆。夢が広がります。ワクワクしてきました。

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