かねてよりやってみたかった牛肉の低温調理に挑戦しました。小林銅蟲(こばやしどうむ)さんのHP、「パル」で紹介されていたのが凄く美味しそうでずっと憧れを抱いていました。専用の水温管理機が2万円程で売られていますが、先ずは試しに手作業でやってみます。
肉の低温調理とは、なるべく低い温度で肉を食するに問題ないレベルまで加熱殺菌する手法のことです。低温で調理することで肉が固くなるのを最小限にできます。但しきわどい調理法なので自己責任の世界です。

こちらはアメリカ産牛肉、プライムビーフのモモ肉520gです。2200円程でした。
水に沈めるので、ビニール袋に入れて口を縛ります。空気が入っていると浮いてしまうので、出来るだけ空気を抜きます。

8Lの寸胴いっぱいに63℃のお湯を張ります。底や壁面は放熱で温度が下がるので、底や壁面に当たらないように肉を配置します。

底には蒸し台を敷き、上からまた別の蒸し台で重しをしました。
お湯に肉を沈めると表面がすぐに白っぽくなりました。一応タンパク質は凝固する温度のようです。また手を入れることはできない程度には熱いです。だからこそ細菌を殺せるんでしょうね。
あとは数時間63℃を保つだけです。「芯温63℃で30分」というのが食品衛生法の基準だそうです。芯温が上がるには時間がかかりますし、基準時間ギリギリだと怖いので長めに63℃を保つことにしました。
冷たい肉をお湯に入れると最初は温度がすぐに下がりますが、肉が温まれば肉が熱を食わなくなるので、温度が下がりにくくなります。62℃まで下がったら火をつけて、水を撹拌しながら温度を上げます。63℃になったら火を消します。鍋底は蓄熱されているので、64℃までオーバーシュートします。今の時期ですと20分間で62℃まで下がるので、そうしたらまた火を入れます。これを繰り返し、61-64℃で4時間調理しました。

こちらが完成品です。意外や肉はかなり縮み、ドリップが沢山出ました。

袋から出すとこんな感じです。肉の重さは390gでした。130gものドリップが出たことになります。

断面です。表面は茶色ですが、中は均一にロゼ色でした。まるでローストビーフです。
スライスして味見してみました。食感はハム、味はローストビーフに近いです。理想的な火の通り具合で美味しいです。勘ですが、危険な感じはしませんでした。
調味は塩、醤油、ワサビ醤油を試してみました。塩も合いますが醤油に軍配が上がりました。
ドリップは牛肉の旨味が濃厚で凄く美味しかったです。これに味付けすればグレービーソースになると思います。今回は塩と醤油で調味してスープとして飲みました。
恐る恐るやってみた低温調理でしたが、肉は予想以上に火が入っており普通に食べられました。
さて、低温調理法と普通のステーキを比較した場合、低温調理法がステーキに勝るかといえば、そこまでではないです。引き分けくらいです。低温調理した肉は美味しいですが、手間がかかります。また普通のステーキのコンガリ焼けた肉の表面というのもそれはそれで美味しいものです。
ただ、面白い調理法なのでまた暇なときに試してみようと思います。そのうち専用機械を買うかもしれません。