パエリアを作りました。パエリアには色々な流儀がありますが、今回は自分の経験と勘を基に作ります。今回はシーフードのパエリアにします。

こちらはホンビノス貝です。北アメリカ大西洋原産らしいです。外来種なので身構えてしまいますが、とても美味しい貝です。物凄く濃厚なダシが出ます。比較的安価なのも良い点です。この巨大なのが1個150円でした。
貝に火を通すのと、貝ダシを得るためさっと茹でます。貝はノロウィルス等を持っているので取り扱い注意です。触ったら手を洗うこと。道具の接触にも注意。

パカッと口が開いて少し茹でたら茹で上がりです。茹で汁は使うのでとっておきます。

鯛に塩を振って半日程、冷蔵庫に放置しました。

魚焼きグリルでコンガリ焼きました。予めコンガリ焼いておいた方が生臭みがなくなり、香ばしさが加わって良いと思います。

玉ねぎとニンニクをオリーブオイルで炒めます。

砕いた生トマトを入れ、水分を飛ばして濃縮していきます。

水で煮る感じから、油で炒める感じになり、オムレツを作れるまで煮詰まったらトマトソースは完成です。
トマトをしっかりと炒めると一般には酸味が飛ぶと言われています。僕はコクが出るように感じています。
トマトの酸味は多分クエン酸によるものです。クエン酸は175℃以上で分子内脱水によりアコニット酸になるそうです。また100℃を超える高温にすることで食材に含まれるその他の成分と反応している可能性もあると思います。このような化学変化が味に影響しているのではないかと思います。
トマトをこのように炒めて濃縮する場合は、白ワインを入れません。せっかく飛ばしたフレッシュな酸味を入れてしまうことになるからです。

洗ってない生米をオリーブ油で炒めます。この工程を踏まないレシピもありますが、やった方が米が軟らかく炊きあがってより美味しい気がします。
米を洗わない派と洗う派がありますが、僕は洗わない派です。両方試した結果、大きな差を感じなかったので、手間が少ない方を選びました。

色々なレシピを調べると「透き通るまで弱火でよく炒める」と書いてあることが多いですが、僕には皆さんが何を目的にどの程度まで炒めているのかよくわかりません。
そもそも、生米が油にまみれれば、火にかけなくても透き通ります。またよく炒めると米の中の水分が爆ぜて白く不透明になります。爆ぜると米はスポンジ状になるので、炊き上がりが更に軟らかくなります。
上の写真は爆ぜる手前まで弱火で炒めた状態です。

米に先ほどの炒めたトマトを加えます。

ホンビノス貝の煮汁、サフランの戻し汁、水を加えます。これらの混合スープの分量は米の体積の3倍としました。米とスープの比率に厳密な決まりはありません。余分な水分を蒸発させてしまうのがパエリアの炊き方だからです。
必要に応じてここで塩を加えます。煮詰めるので薄味にとどめます。
米とスープをざっと混ぜます。これ以降は混ぜません。

具を乗せます。塩焼きの鯛、アスパラガス、茄子、モロッコインゲン、エリンギ、パプリカを乗せました。夏野菜が合うように思います。
具と米を混ぜないことが大事です。混ぜると米が具の上に浮いてしまいます。スープは下に溜まるので、米とスープが接触しにくくなり、米がうまく炊けなくなってしまいます。

こんな感じで、米が浮かない程度の火加減でぐつぐつ煮ます。

大分スープがなくなりました。完成間近です。スープがなくなると焦げやすくなるので、火を弱めます。スープがなくなると、底は油で揚げる感じになりパチパチと音がするようになります。
どこで完成とするかは好み次第です。お焦げが好きなら長めに加熱します。難しいのは焦げ具合が見えないこと。嗅覚と勘でベストなタイミングを見極めます。

ホンビノス貝を乗せました。貝は加熱しすぎると縮んで固くなってしまうので、煮ずに最後に温めるだけにします。

鯛を解して骨を除きました。骨からダシが出るので骨も一緒に煮た方がよいですが、食べる際には邪魔なので取り除きます。
完成です。鯛とホンビノス貝のダシが濃厚です。トマトの酸味とマッチして凄く美味しいです。
野菜を入れすぎたかなと思いましたが、やはり沢山野菜は入っていた方が美味しいです。よく加熱されて野菜がトロトロになっています。
エリンギを入れたのも正解でした。キノコのダシも加わり、旨味が複雑になり増強されています。
パエリアはちょっと手がかかりますが、旨味のスープでご飯を炊くだけなので大抵美味しくできますし、見た目が華やかでパーティーやお祝いに最適です。