実験に使った麹が余っていたので甘酒にしました。

材料(大体の分量):麹200g、ごはん(炊飯後)200g、水600cc
ごはんを水で煮て殺菌し、60℃以下にまで冷まします。

60℃以下にまで冷えたら麹を入れます。
色々と調べますと、60℃というのは麹カビは死ぬけれども、酵素は壊れない温度のようです。甘酒作りというのは麹カビ自体を利用するのではなく、麹カビの持つ酵素を利用した発酵のようです。

炊飯器に調製した混合物を入れます。

低温を保つため蓋は閉じず、布巾をかぶせるだけにして保温します。温度は必要だけれども65℃以下に保つ必要があるようです。65℃を超えると酵素が壊れてしまうそうです。
実際に温度計を挿入して温度を計ったところ65℃かそれを僅かに上回るくらいでした。うまくいくか心配でしたが、結果を見守ることにしました。

10時間保温とレシピには書かれていましたが、10時間後は真夜中だったので朝まで保温を保ち18時間保温しました。夜の時点で甘酒特有の甘ったるい香りがして米粒が崩れていたので成功を確信していました。

18時間後の様子です。水が蒸発して体積が減りました。茶色いのはご飯に発芽玄米が入っているからです。

保存容器にとりました。
味は完全に甘酒で、成功でした。このまま食べると物凄く濃厚なのですが、薄めると途端に凄く希薄になってしまうのが甘酒の不思議なところです。
薄めるという行為には注意が必要です。体積を増やしただけ味が薄まる成分と、体積の増加に比例して味が薄まらない成分があるためです。そのため薄めると味のバランスが崩れて美味しくなくなることがあります。
体積に比例して味が薄まるもの:糖、塩、旨味
体積に比例して味が薄まらないもの:有機酸
と考えています。酸味というのはH+(水素イオン)に由来します。有機酸(R-COOH)は濃度によりますが大雑把にいうと1/100位しか電離(R-COO- + H+)しておらず、薄まると電離が進みH+を放出します。そのため薄めてもそれほど酸味は弱くなりません。
果実酒を作る際に大量に砂糖を入れるのは、浸透圧で果実のエキスを絞り出すほか、薄めたときに味のバランスを保つことも理由にあると考えています。
以上、豆知識でした。
今回はスタンダードな甘酒でしたが、色々とアレンジすると面白いと思っています。甘酒作りというのは要は澱粉を麹カビのアミラーゼで分解して単糖にする行為です。澱粉源には通常米を使いますが、他の澱粉源でもできるはずです。さつま芋とか栗とかを使えば風味の異なった甘酒ができると思います。将来ためしてみたいと思います。